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社会

ソフトウェア開発は犯罪になりうるか(Winny事件二審判決はどうなるか)

曖昧なルールが、人を萎縮させ、産業を停滞させる。

2002年以降、社会的インパクトを与えつづけてきたWinny。 開発者の金子勇氏は第一審で罰金150万円の有罪となったが、検察側、弁護側共に控訴。 今年1月から第2審が行われ7月に結審した。 そしていよいよ10月8日、大阪高裁にて判決となる。

第一審判決では

  • Winnyというソフトウェア自体の違法性→検察側の主張を却下
  • 開発者の意志→違法性を容認しながら開発継続していたので違法有罪

という内容だった。

この判決では、ソフトウェア開発がどのようなケースで違法となるのかが明確になっておらず、 こうしたコンテンツを扱うソフトウェア開発者にとって、相当の萎縮効果がある。

この問題を考えるに当たって、米国のDMCA法と比較してみるといいかもしれない。
DMCA法とは、基本的には著作権産業側に有利な法律である。 しかしそこでは、ユーザーの著作権侵害行為を発見した場合、運営側がそれを削除することで免責されることになっている。 つまり、ユーザの著作権侵害行為の存在を前提としながらも、サービス提供側に一定の規範を求めることで、そのバランスを取りながら、産業の発展を促す仕組みとなっている。

このルール自体の是非は別としても、著作権侵害行為と運営側の責任の線引きは明確だ。 こうしたルールがあったからこそ、Youtubeなどを初めとしたコンテンツ配信産業の発展があったといえる。 ルールが明確でなければ、思い切ったイノベーションは見込めない。

今回の判決では、ソフトウェア開発がどのような条件で違法となるのか、明確な線引きが可能となることを期待したい。

なお、判決当日の10月8日、大阪弁護士会にて金子さん支援者向けの報告会を行うので、興味のある方は[info{at}lse.or.jp]までご連絡を。LSE非会員でも当日入会でどうぞ。

参考

BizPlus:コラム:「BPnet おすすめコラム」ニュース解説 Winny裁判の控訴審が判決へ

DMCAとは 【デジタルミレニアム著作権法】 (Digital Millennium Copyright Act) – 意味/解説/説明/定義 : IT用語辞典

LSE – NPO法人ソフトウェア技術者連盟 – FrontPage